共感 初級

共感マップ(Empathy Map)

ユーザーの体験を「言っていること・考えていること・していること・感じていること」の4象限で整理するフレームワーク。

所要時間 30-60分
参加人数 2-6人
準備物 付箋、ペン、ホワイトボードまたは大きな紙

共感マップ(Empathy Map)は、ユーザーの体験を視覚的に整理するためのシンプルなフレームワークです。

概要

共感マップは、Dave Gray が開発したツールで、ユーザーの体験を4つの象限で整理します。ユーザーインタビューや観察の後に使用することで、チーム全体でユーザーへの理解を共有できます。

4つの象限

言っていること(Say)

ユーザーがインタビューや観察中に実際に口にした言葉をそのまま記録します。「〜が面倒」「〜が分からない」など、ユーザー自身の表現を使うことが重要です。

考えていること(Think)

ユーザーが口にはしないが、考えていると推測されることを記録します。「本当は〜したいのでは?」「〜を心配しているのでは?」といった推察です。

していること(Do)

ユーザーの実際の行動を記録します。言葉と行動が矛盾している場合、行動の方がより真実に近いことが多いです。

感じていること(Feel)

ユーザーの感情状態を記録します。不安、喜び、苛立ち、期待など、体験に伴う感情を特定します。

実施の手順

  1. 中心にユーザーのペルソナを配置する
  2. 4象限を描く
  3. チームメンバーがそれぞれの象限に付箋を貼る
  4. 付箋をグルーピングし、パターンを見つける
  5. 矛盾点や驚きのある発見に注目する

ワークショップで繰り返し見られるパターン

200回以上のワークショップで繰り返し見られるのは、「Think」象限が空欄のまま進んでしまうパターンです。「Say」と「Do」はインタビューの記録から埋まりますが、「Think」は推察が必要なため、チームが「勝手に決めてよいのか」と迷って手が止まります。

実際にやってみると、「Think」の空欄を埋めようとする議論の中から、チームが暗黙に抱えていた仮定が次々と出てきます。「このユーザーは実は〜と思っているのではないか」という問いかけが、次のユーザーインタビューで確認すべき仮説の源泉になります。推察でよい——ただし、推察と事実を色で区別して記録する習慣をつけることが大切です。

ポイント

  • 推測と事実を区別する — 観察に基づく事実と、チームの推測を分けて記録する
  • 矛盾を大切にする — 言っていることとしていることが異なる場合、深い洞察のヒントになる
  • 一人のユーザーに集中する — 複数のユーザーを混ぜず、一人ずつマップを作成する

共感マップで整理した内容は問題定義フェーズでのPOVステートメント作成に直接つながります。


参考文献

  • Dave Gray, Gamestorming: A Playbook for Innovators, Rulebreakers, and Changemakers, O’Reilly, 2010
  • Nielsen Norman Group, “Empathy Mapping: The First Step in Design Thinking”, nngroup.com, 2017