用語集
Human-Centered Service Design(人間中心サービスデザイン)の実装 — 顧客体験設計の理論
顧客のニーズ・行動・文脈を設計の起点とし、サービス接点全体を体験として統合的に設計するアプローチ。デザイン思考とサービスデザインの交差領域で機能する。
POV(Point of View)ステートメント
共感フェーズで得たインサイトを、解くべき問題として明文化するためのフレームワーク。Define段階の核となる成果物。
アブダクション(仮説的推論)
チャールズ・S・パースが定式化した第三の推論形式。観察から最も妥当な仮説を導く思考プロセスで、ロジャー・マーティンはこれをデザイン思考の知的核心と位置づけた。
ウィキッド・プロブレム
ウィキッド・プロブレムとは問題定義自体が曖昧で唯一の解決策が存在しない複雑な問題類型。Rittel&Webber 1973の原論文に基づく10特徴、テイム・プロブレムとの対比、デザイン思考の反復プロセスが有効な理由を体系解説する。
コンセプトマッピング
Joseph D. Novak が1972年に開発した知識可視化の手法。概念をノードとして、概念間の関係を有向リンクで記述することで、複雑な知識構造を外在化する。デザイン思考の定義フェーズにおけるインサイト統合と問いの構造化に活用される。
コンセプトマッピング・ツール比較
コンセプトマッピング (概念マップ) の代表的ツール 7 種を、用途・コラボレーション機能・学術引用・価格・エクスポート形式で横断比較。CmapTools / Miro / FigJam / Mural / Lucidspark / XMind / Whimsical の選定基準を示す。
サービスブループリント
顧客の行動・接点(フロントステージ)と、顧客から見えない業務プロセス(バックステージ)を同一の図面に可視化するサービス設計ツール。顧客体験の全体構造とオペレーションの関係を把握するための設計図。
システム思考とデザイン思考の統合
複雑な問題に対処するため、システム思考とデザイン思考を組み合わせる概念的・実践的な枠組み。Peter Senge のシステム思考と d.school のデザイン思考を接続する。
センスメイキング・デザインリサーチ
複雑で不確実な問題状況の中から、意味のある構造を見いだすプロセス。デザイン思考のリサーチ段階では、単にユーザーデータを集めるのではなく、そのデータの背後にある「意味」を解釈し、問題の本質へと到達することが求められる。センスメイキングは、その意味構築のプロセスを指す。
ダブルダイヤモンド(Double Diamond)
英国Design Councilが2004年に提唱した、発散と収束を2回繰り返すデザインプロセスモデル。
デザインスプリント(Design Sprint)
GoogleベンチャーズのJake Knapp が考案した5日間の構造化問題解決プロセス。月単位の開発サイクルを5日間に圧縮し、プロトタイプとユーザーテストを通じて「作る前に検証する」ことを可能にするフレームワーク。
デザインスプリント再考(2026版)──5日間から『反復スプリント』へ
Google Ventures が提唱した『5日間でプロトから検証まで』というデザインスプリント。しかし実務は違う。リモート化、AI活用、短サイクルのニーズから、『1週間で『3ラウンド』のミニスプリント』という新形式が生まれている。その設計思想と運用のコツを解き明かします。
デザインブリーフ
デザインプロジェクトの目標・制約・対象ユーザー・成功基準を一枚に整理した設計文書。プロジェクト開始時にチーム全員の認識を揃えるためのアンカードキュメント。
デザイン思考(Design Thinking)
デザイナーの思考プロセスをビジネスや社会課題の解決に応用する、人間中心のイノベーション方法論。
プロトタイピング(Prototyping)
プロトタイピングは「良いものを作る」ではなく「最小コストで仮説を検証する」思想的転換。低忠実度から高忠実度までのスペクトラム、15分原則、Fail early to succeed soonerの哲学をデザイン思考第4フェーズとして体系的に解説する。
ペルソナ(Persona)
デザイン思考の共感フェーズで用いる仮想ユーザー像。実際のリサーチデータをもとに、特定のユーザーグループの行動・目標・価値観・感情を具体的な「人物」として記述したもの。
ラテラルシンキング(水平思考)
エドワード・デ・ボノが1967年に提唱した思考法。論理的な垂直思考とは異なる角度から問題に接近し、前提を崩して新しいアイデアを生み出す。デザイン思考の創造フェーズで中核的な役割を担う。
拡散的思考
J.P. ギルフォードが1950年のAPA会長講演「Creativity」で定式化した知能の一様式。単一の正解に向かう収束的思考とは対照的に、複数の可能な答えを生成し探索する思考モード。流暢性・柔軟性・独創性・精緻性の4指標で測定される。
共感マッピング深掘り——Dave Gray Empathy Map Canvas の構造と原理
Dave Gray(XPLANE 創設者)が2010年代に設計したEmpathy Map Canvasの4象限(Says/Thinks/Does/Feels)の設計思想と、各象限が明かす認知層の違い。既存の手順ガイドとは独立した概念・理論角度の詳述。
人間中心設計(Human-Centered Design)
人間のニーズ、行動、制約を出発点としてシステムやサービスを設計するアプローチ。ISO 9241-210で国際規格化されている。
発散思考と収束思考
発散思考と収束思考はデザイン思考の根幹をなす2つのモード。同時併用は不可能で交互反復が創造を生む原理、ダブルダイヤモンドとの対応、ワークショップでモード混在を防ぐグリーンライト・レッドライト原則を体系解説。
問題フレーミング
デザイン思考の定義フェーズにおける核心的な思考作業。「どの問題を解くか」を意図的に選択・再定義することで、解決策の質と方向性を決定する思考技術。フレームを変えるだけで、まったく異なる解決策空間が開かれる。