How Might We(HMW)は、問題をポジティブで創造的な問いに変換するシンプルかつ強力な手法です。
概要
HMWは「私たちはどうすれば〜できるだろうか?」(How Might We…?)という形式で問いを立てます。Procter & Gamble(P&G)で生まれ、IDEO が広く普及させました。
この3つの単語にはそれぞれ意味があります。
- How(どうすれば) — 解決策が存在するという前提を持つ
- Might(かもしれない) — 正解は一つではないという可能性を開く
- We(私たちは) — チームの協働を促す
良いHMWの条件
HMWの質は、その「粒度」で決まります。
- 広すぎる例:「どうすれば人々を幸せにできるか?」→ 漠然としすぎて発想が拡散する
- 狭すぎる例:「どうすればボタンを青にできるか?」→ すでに解決策を含んでいる
- 適切な例:「どうすれば通勤時間をもっと有意義に感じられるようにできるか?」→ 多様なアイデアが生まれる余地がある
実施の手順
- 共感フェーズで得たインサイトを確認する
- インサイトを「HMW…?」の形に変換する
- 一人3-5個のHMWを付箋に書き出す
- チームで共有し、類似のものをグルーピングする
- 投票で最も有望なHMWを選ぶ
- 選ばれたHMWをIdeateフェーズの出発点にする
ワークショップで繰り返し見られるパターン
200回以上のワークショップで繰り返し見られるのは、HMWの問いが「解決策を含んでいる」パターンです。「どうすればアプリのナビゲーションをシンプルにできるか」は、すでに「ナビゲーションをシンプルにする」という解決の方向が入っています。良いHMWは、解決策の方向を決めず、複数の解法を許容します。
実際にやってみると、同じインサイトから「狭すぎるHMW」「広すぎるHMW」「適切なHMW」を3種類書いてもらう練習が効果的です。「ユーザーが申し込みの途中で離脱する」というインサイトから、「どうすればフォームの項目を減らせるか」(狭すぎ)、「どうすれば申し込みをもっと楽しくできるか」(広すぎ)、「どうすれば申し込み中の不安を取り除けるか」(適切)と並べると、適切な粒度の感覚が体感的に身につきます。
ポイント
- 1つのインサイトから複数のHMWを生み出す
- ネガティブな問題をポジティブな機会に変換する
- 解決策ではなく「機会の方向性」を示す
- HMWはCrazy 8sやアイデア創出フェーズの出発点になる
参考文献
- IDEO, “How Might We Questions”, ideo.com/blog
- Min Basadur, “Simplex: A Flight to Creativity”, Creative Education Foundation, 1994(HMW手法の原典的考察)