問題定義フェーズ——本質的な問いを設定する技術
デザイン思考の第2フェーズ「問題定義(Define)」を解説。観察結果の統合からPoint of View(POV)の設定、How Might We(HMW)の活用まで。
デザイン思考の第2フェーズ「問題定義(Define)」を解説。観察結果の統合からPoint of View(POV)の設定、How Might We(HMW)の活用まで。
問題定義(Define)は、共感フェーズで得た情報を統合し、解くべき本質的な問題を明確にするフェーズです。
共感フェーズで集めた大量の情報——観察メモ、インタビュー記録、写真——をそのまま使うことはできません。これらの情報を整理・統合し、チーム全体が共有できる明確な問題文(Problem Statement)を作成することが、このフェーズの目的です。
親和図法(KJ法)を使ってインタビューデータをグルーピングすることで、個別の発言からパターンとインサイトを引き出します。
d.school では、問題文を「Point of View(POV)」と呼びます。POVは以下の形式で記述します。
[ユーザー]は[ニーズ]を必要としている。なぜなら[インサイト]だからだ。
例えば「通勤者は移動時間をもっと有意義に過ごしたいと思っている。なぜなら、毎日の通勤が人生の浪費だと感じているからだ」のように記述します。
良いPOVの条件は以下の通りです。
POVが設定されたら、それを「How Might We(HMW)」形式の問いに変換します。HMWは「私たちはどうすれば〜できるだろうか?」という形式で、創造フェーズへの橋渡しとなります。
良いHMWは、広すぎず狭すぎない適度な範囲を持ちます。「どうすれば世界を良くできるか」は広すぎ、「どうすればボタンの色を決められるか」は狭すぎます。
200回以上のワークショップで繰り返し見られるのは、問題定義フェーズが「地味で退屈」という理由で駆け足になるパターンです。付箋を貼ったら終わり、グルーピングをしたら終わり、と次の発散(Ideate)に急ぐチームが多い。
実際にやってみると、POVステートメントを書いてチームで読み上げたとき「これ、誰の問題か全然見えない」と気づくことがあります。その瞬間が大切で、焦って次に進んでいれば共感フェーズの全作業が無駄になっていたかもしれません。「書いてみて初めて分かる」がDefineフェーズの本質です。 書いて、読み上げて、違和感があれば書き直す。その繰り返しが問いの精度を上げます。
問題定義フェーズは、共感と創造をつなぐ重要な橋渡しです。正しい問題を設定できれば、解決策は自然と生まれてきます。ダブルダイヤモンドモデルでは、このフェーズへの十分な時間投資が成否を分けると強調しています。