創造(Ideate)は、問題定義フェーズで設定した問いに対して、大量のアイデアを生み出すフェーズです。

創造フェーズの原則

このフェーズで最も重要な原則は、発散と収束を分離することです。アイデアを出す段階(発散)と、アイデアを選ぶ段階(収束)を同時に行わないことで、自由な発想が促進されます。ダブルダイヤモンドモデルでも、この発散と収束のリズムを明示的にプロセスに組み込んでいます。

ブレインストーミングのルール

IDEO が実践するブレインストーミングのルールは以下の通りです。

  1. 判断を保留する(Defer Judgment) — アイデアの良し悪しを判断しない
  2. 大胆なアイデアを歓迎する(Encourage Wild Ideas) — 実現可能性は後で考える
  3. 他者のアイデアに乗る(Build on the Ideas of Others) — 「Yes, and…」の姿勢
  4. 一度に一人が話す(One Conversation at a Time) — 全員のアイデアを聴く
  5. 視覚的に表現する(Be Visual) — 言葉だけでなくスケッチも活用
  6. 量を追求する(Go for Quantity) — 質より量を重視する
  7. トピックに集中する(Stay Focused on the Topic)HMWからの問いに立ち返る

アイデア発想の手法

ブレインストーミング以外にも、さまざまなアイデア発想手法があります。

  • Crazy 8s — 8分間で8つのアイデアをスケッチする
  • SCAMPER — 既存のアイデアを代用・結合・適応・修正・転用・除去・逆転する
  • マインドマップ — 中心テーマから連想を広げていく
  • 逆ブレインストーミング — 「最悪の解決策は何か?」から考える

収束:アイデアの選択

十分な量のアイデアが出たら、収束に移ります。投票(Dot Voting)やマトリクス(Impact/Feasibility Matrix)を使って、プロトタイプフェーズに進めるアイデアを選択します。

ワークショップで繰り返し見られるパターン

200回以上のワークショップで繰り返し見られるのは、発散フェーズ中に「それは実現できない」という評価の声が上がるパターンです。ルールとして「判断を保留する」と最初に説明しているにもかかわらず、声の大きいメンバーが「現実的ではないよね」とアイデアを即座に却下し始める。

これが起きると、その後のアイデアの質が急激に落ちます。参加者が「どうせ否定される」と感じ、当たり障りのないアイデアしか出さなくなるためです。実際にやってみると分かるのですが、最初の10個のアイデアは全員が思いつく「当たり前の案」です。本当に面白いアイデアは15個目以降に出てきます。 そこまで場を守るのがファシリテーターの役割で、そのためにもルールの徹底が不可欠です。

まとめ

創造フェーズの成功は、安全な環境での自由な発想と、適切な収束のバランスにかかっています。


参考文献

  • IDEO, “The 7 Rules of Brainstorming”, ideo.com
  • Tom Kelley & Jonathan Littman, The Art of Innovation, Currency/Doubleday, 2001
  • Stanford d.school, Bootcamp Bootleg, Institute of Design at Stanford, 2011(改訂版2018)