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アイデアが出ない会議には、制約を1つ足す——発想を動かす3つの制約の置き方

「自由に出してください」と言うほど、アイデアは似通ってくる。創造フェーズでは制約を外すと言われるが、発想が止まったときは逆に、制約を1つだけ足すと動き出すことがある。時間・手段・相手の3つの置き方を、架空のワークショップの場面で順に示す。

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商店街の空き店舗を使った企画を考えるワークショップで、チームは30分ほど付箋を出し続けた。壁には「カフェ」「マルシェ」「コワーキング」「こども食堂」が並んだ。どこかで見たことのあるものばかりで、全員が手を止めた。

進行役は「もっと自由に、突飛なものでもいいので」と声をかけたが、出てきたのは「カフェ+本」「マルシェ+音楽」という組み合わせ程度だった。以下の場面は、説明のために作った架空のものだ。

自由にと言われると、案は似通う。何でもよい状態では、人は無意識に、一番思いつきやすい形に引っ張られるからだ。創造フェーズの基本は制約を外して量を出すことだが、発想が止まったときは、制約を1つだけ足すほうが動く場面がある。


足す制約は3種類

1. 時間の制約

「開けるのは、月に1日だけ」「営業は、午前の2時間だけ」のように、時間を絞る。

  • 毎日開ける前提が外れるので、「常設の店」以外の形が出てくる
  • 例:月に1日だけなら、同じ場所を別の人が順番に使う「持ち回りの店」が考えられる

2. 手段の制約

「お金をかけずに」「いまある棚と机だけで」のように、使える物を絞る。

  • 新しく用意する前提が外れるので、すでにある物と人の見直しになる
  • 例:棚と机しかないなら、近所の人が不要な本や道具を持ち寄る場が考えられる

3. 相手の制約

「対象は、70歳以上の1人暮らしの人だけ」のように、使う人を絞る。

  • 「みんなのため」が外れるので、特定の人の1日の流れから考え始められる
  • 例:1人暮らしの人が昼に誰とも話さない日があるなら、「昼の1時間だけ話せる机」が考えられる

制約を足すときの決まり

  • 一度に足すのは1つだけ。 3つ同時に足すと、条件を満たすことに頭を使い切り、発想が出なくなる
  • 足した制約は、守ることを目的にしない。 出たアイデアが制約から外れても、面白ければ取っておく。制約は発想を動かす道具で、評価の基準ではない
  • 制約ごとに、5分で付箋を出す。 3種類を順に試して、どれが一番動いたかを見る

出したあとの選び方は別の記事で扱っている。足した制約から出たアイデアは、選ぶ段階で制約を外して見直してよい。


場面に戻って

先ほどのチームは、「月に1日だけ」という制約を足して、5分間付箋を出した。「持ち回りの店」「その月の担当が決める日替わりの店」「前の月の担当が、次の担当に鍵と一言メモを渡す店」が出てきた。

次に、「いまある棚と机だけ」を足した。「不要な道具の持ち寄り」「棚の一段ごとに持ち主が違う貸し棚」が出た。

30分で出なかった形が、10分で出たわけである。そのまま採用するかどうかは別として、壁の付箋の種類は明らかに変わった。


まとめ

  • 「自由に」と言うほど、思いつきやすい形に寄って似通う
  • 発想が止まったら、時間・手段・相手のどれかの制約を1つだけ足す
  • 制約は発想を動かす道具で、評価の基準にはしない
  • 制約ごとに5分で出し、どれが動いたかを見る

最初の一歩は、いま止まっているテーマに「月に1日だけ」を足して、5分間付箋を出すことである。

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